レン君の生命力

猫との暮らし

レン君の生命力

 レン君がぼくの家へやってきて翌朝の事でした。

寝室から降りてきて、レン君が昨夜に眠った即席のベッドの横で背中を見せて座っていました。

「レン君、おなかすいたか?」と、ぼくは小さな小さなレン君を手のひらに乗せて顔を見ました。

「うっ・・・・なんやこれ・・・」

なんとレン君の眼か黄色いような粘液が飛び出していてもう目玉が溶けたと思えるほどその粘液に覆われていたのです。

まだあまり猫に対しての知識が薄かったぼくは、絶望感に苛まれました。

なんちゅうこっちゃ・・・・。

ただ落ち込んでいてもはじまりません。ぼくは一旦会社に出かけてからどうしてもしなければならなかった事だけを片付けてすぐさま自宅へ戻りました。

その時の時刻がちょうど7時でした。

動物病院はまだとうぜん開いていませんが、そのころ何度かお世話にはなっていた近所の動物病院に行こうと決めて力なく息だけが荒いレン君を撫でるだけしか出来ませんでした。

「レン君だいじょうぶか・・・」

まさか死ぬとかそんなことまでは考えれませんでしたが、病院に連れていき、最初にドクターに言われたのは、「仔猫はねえ、猫風邪で簡単に死ぬんですよ。なんとか頑張ってくれたらいいのですけど、この子の生命力ですねえ」

頭がくらくらしました。

まさか仔猫をもらいに行き、まさか二日目の朝にそんな言葉を聞くとは考えもつきませんでした。

それから一週間、レン君は病院で入院しました。

仕事に行きながら、昼間はなんども病院を訪ねてはレン君が入院している保育器のような無菌の部屋を見に行っていました。

「たぶんなんとかなると思いますよ」

そうドクターに言っていただいたのですが、レン君は入院してから一度も横になって眠ってないということを聞きました。

しんどくて横になれない。そう医者からは言われました。

一週間が経ち、なんとか動けるようにはなったのです。

「この子は立派に頑張りました」

ドクターはぼくが自宅へ連れて帰って、必ずしなければならない約束事を3つ言われました。

朝晩の薬と、夜中の薬。ご飯はペースト状のものをレンジでかるく温めて与える。そしてうんちは必ず濡れたティッシュでお尻をとんとんと軽くたたき促して排便させること。

それを次にレン君を病院に連れていくまでずっとしました。

もう一回つづく

by たかにゃん